ムラサキセンブリ

 
 
 

都井岬に8種ある絶滅危惧植物の1つ、ムラサキセンブリが開花しています。
ムラサキセンブリ
(学名: Swertia pseudochinensis リンドウ目リンドウ科センブリ属 多年草)
環境省のレッドデータブックでは準絶滅危惧種(NT)、宮崎県では絶滅危惧Ⅱ類(VU)として掲載されています。

 
 

ムラサキセンブリ2
 

なお、園芸種をお探しの方は「イブニングスター」で検索してみてください。
センブリに比べて薬効は少ない反面、大ぶりなお花が楽しめます。
花言葉は「すべて良し」です。

都井岬でお見かけの際は、そっと大切にお見守り下さい。

 
 
 
 

ネムノキの就眠運動

 
先日ご紹介したネムノキ。
夜の様子をみにきました。

IMG_2010


「ねむ」のき、という名前通り、まるで眠っているかのように葉を閉じています。
日中は開き花や葉を開き夜になると
たたむこの運動は、ネムノキ以外にもさまざまな植物で確認されており、総じて「就眠運動」とよばれています。
 
 
ちなみに昼はこんな感じで
ネムノキの葉 昼
夜はこうなっています。
ネムノキの葉 夜

 
 
 
それにしても、動物と違って筋肉をもたない植物ーネムノキはいったいどうやって葉を開閉しているのでしょう?その仕組みはすでにずいぶん明らかにされているようです。
ネムノキの葉の根元ーちょうど開閉運動に合わせて折れ曲がる部位には、開閉運動をつかさどる運動細胞がありました。この細胞が大きくなると葉は持ち上げられ、しぼむと葉は畳まれます。運動細胞の大きさを変える原因は主に「水」と考えられています。大量の水が運動細胞の内部に入り込んで細胞を膨らませ、その膨らんだ細胞が葉を押し上げているのです。

 
ではどんな仕組みで昼と夜で水の入り方が変わるのか。
東北大学で、植物の覚醒/就眠に作用する化学物質が具体的に特定されたり、その化学物質の濃度バランスが昼夜で逆転することが確認されたりと、着々と研究が進められているようですよ。

 
 

上田実、山本庄亮、「植物の運動を引き起こす化学物質 : 生物時計による就眠運動のコントロール」有機合成化学協会誌  
 57(7), 571-580, 1999-07-01
https://www.jstage.jst.go.jp/article/yukigoseikyokaishi1943/57/7/57_7_571/_pdf

東北大学大学院理学研究科化学専攻(有機化学第一研究室)
http://www.orgchem1.chem.tohoku.ac.jp/orgchem1/Research_jag.html

ネムノキ

都井岬入り口「駒止の門」から都井岬灯台へと向かう県道沿い、
林縁の高木に、ピンクの花がたくさん見られるようになりました。
チアリーダーのポンポンのような、ふわふわした花。
合歓(ねむ)の花です。

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ネムノキAlbizia julibrissin、合歓木)はマメ科ネムノキ亜科の高木です。
背の高い木ですが、傾斜のある都井岬では道路から谷側を探すと、ちょうど目の高さで花を見ることができます。

近づいてよくよく見ると
一つの花に見えていたポンポンは、実は小さな花のあつまりだとわかります。
(下の写真ではまだ花が咲く前のつぼみが映っていてわかりやすいですね。)※1
ピンク色の糸状のものは、花びらではありません。
長くて、花びらよりも目立っている「雄しべ」です。
雄しべの先端に、黄色い粒がついているのが見えますか?
この粒は葯(やく)です。この中に花粉が入っています。IMG_2008

花粉がめしべについて(受粉して)初めて、ネムノキは子孫を残すことができるのですが、
みれば肝心のめしべの成熟は遅く、雄しべが萎れたころにようやく成熟します(雄性先熟)。
それでは子孫は残せないのでは?といえば、そんなこともありません。
遅れて成熟しためしべは虫たちを媒介者として、よその花から花粉を受け取ります。
成熟する時期をずらすことによって、自分のめしべを自分の花粉で受粉させてしまう事態「自家受粉」を避けることができています。
自家受粉が避けられる理由はまたいずれご説明しますね。


※ 1 このように、いくつもの小さな花(小花)が一つの大きな集合体(頭状花)をつくる構造を「頭状花序」とよびます。花序(花の集まり方・並び方)は花の種類を見分けるうえでまたいずれ。

万能薬ウツボグサ―6月の草花

雨の続く都井岬ですが、季節は着々と移り変わりつつあります。
春の鮮やかな花たちは既に種となり、この季節はすこし控えめな様子の花々が多くなります。


今日は最近都井岬で見られる花、ウツボグサ(Prunella vulgaris L. subsp. asiatica)をご紹介します。
ヨーロッパやアメリカに生息するセイヨウウツボグサ(Prunella vulgaris)の亜種です。

IMG_2001

ウツボグサの仲間は英語でself-heal(自己-治癒)とかheal-all(全-治癒)などと呼ばれており、自己治癒力を高めるハーブとして広く利用され来ました(例えば眼精疲労から胃腸薬、強壮剤、外傷薬など)。日本でも生薬として利用されており、「日本薬局方」にも夏枯草(カゴソウ)という名称で記載されています。

煎じてお茶にしたり、若苗を炒めたり揚げたり、花弁をサラダにしたりと、活用方法は様々。けれど匂いや味はあまり強くないのだとか。

 

学界ではその抗菌作用・抗ウイルス作用が注目されています。「ウツボグサの抽出物がHIVウイルスの増殖を抑える」とか「アレルギーを抑える」なんて論文が出るなど、有効成分の活用が期待されているようです。

1) 厚生労働省「日本薬局方ホームページ」 第十六改正日本薬局方(平成23年3月24日厚生労働省告示第65号) p.1466「カゴソウ」

2) Li-mei Lin, Hui-Min Gao, Jing-jing Zhu (2015).”Prunella vulgaris L. 夏枯草 (Xiakucao, Common Selfheal)”. Dietary Chinese Herbs. 3
: 469-475. doi:10.1007/978-3-211-99448-1_53.

3) Collins RA, Ng TB, Fong WP, Wan CC, Yeung HW (1997). “A comparison of human immunodeficiency virus type 1 inhibition by partially purified aqueous extracts of Chinese medicinal herbs”. Life Sci. 60 (23): PL345–51. doi:10.1016/S0024-3205(97)00227-0.PMID 9180371

4) Kageyama S, Kurokawa M, Shiraki K (March 2000). “Extract of Prunella vulgaris spikes inhibits HIV replication at reverse transcription in vitro and can be absorbed from intestine in vivo”. Antivir. Chem. Chemother. 11 (2): 157–64. PMID 10819439