調査・研究

どこかよその庭園に似せられるでもなく
元来の環境条件と人々の活動の歴史をありのままに受け継いで
まるで日本らしからぬ独自の景観と生態系を育む 自然公園都井岬

私たちは都井岬のこの稀有な在りよう
― 人の手を離れて暮らすウマの姿 ―
― 彼らに形作られた地域生態系 ―
― それを間近で観察できる自然と人との距離感 ―
に、この先もずっと続いてほしいと願っています

どうして続いてほしいのか

それはただ単に「研究対象として稀有だから」というだけではありません
御崎馬は人に依存せず生きる姿を私たちの間近で見せてくれます
変動する環境を粛々と受け入れ、仲間との関係性を紡ぎ、自らの生を自らの責任で支えるその姿は
訪れる人々を癒し、勇気づけ、生きる力を教えてくれるものでしょう
私たちはその姿を後世まで残していきたいと願っています

けれど、「都井岬を今後どのように扱うか」決められるのは私達ではありません
それを決められるのは御崎牧組合の方々および串間市の方々です
そしてその判断に大きな影響を及ぼすものは 都井岬にお越しくださるお客さまのご意見でしょう
皆さまの思い描く「都井岬の理想の未来像」が
今後の都井岬と御崎馬の未来を左右し得ると私たちは考えています

私たちは都井岬の未来に携わる少なからぬ割合の方々が
「野生馬として眺めるよりは乗りたい・触りたい・餌をやりたい」
「生態系を保つよりは開発したい・より収益の見込まれる事業を導入したい」と
そのようにお考えであることを知っています
それらの価値観がマジョリティである可能性も 私たちは理解しています

それでも
私たちは都井岬の御崎馬に「より野生馬らしい姿」であってほしいと願っています
「御崎馬が野生馬であり続けること」
そして「都井岬に野生馬を中心とした生態系がありつづけること」が
都井岬のかけがえのない魅力だと考えています

私たちは私たちの思う都井岬の魅力を訪れる皆さまにお伝えしたく
この会社を立ち上げました
都井岬の生き物たちは一体どのような暮らしをしているのか
日々の観察の様子を科学的な知識と共にご紹介してまいります
なるほどと感嘆させられるような様々な事象が 目の前の自然で起こっている
そんな様子を皆さまにご案内できましたら幸いです。

これまで 世界中の科学者が
「どうなっているの?」「なんのために?」「どんな背景で?」
という疑問を胸に 各地の生き物たちと向き合ってきました
生き物たちが積み重ね洗練させてきた 生きて・子孫を残すための工夫
私達が目にする世界を紡ぎだす 生き物の複雑な結びつき
何気なく歩くだけでは分かりにくい 世界と生き物との関係が
科学者たちのつぶさな観察によって今も少しずつ明らかにされています

都井岬の生き物たちを通すとそんな世界中にあふれる生き物の不思議を垣間見ることができます
私たちはそれら「現在までに明らかになっている事実」を皆さまにご紹介します

私達の活動によって都井岬の自然を面白いと感じていただけたなら
それが都井岬の未来はこうあってほしいという皆さんのご意見を形作る一欠片になったなら、
都井岬の自然を維持するための大切な一歩になるのではないかと考えています。

PACCA 都井岬合同会社  研究員 坪山 佳織