万能薬ウツボグサ―6月の草花

雨の続く都井岬ですが、季節は着々と移り変わりつつあります。
春の鮮やかな花たちは既に種となり、この季節はすこし控えめな様子の花々が多くなります。


今日は最近都井岬で見られる花、ウツボグサ(Prunella vulgaris L. subsp. asiatica)をご紹介します。
ヨーロッパやアメリカに生息するセイヨウウツボグサ(Prunella vulgaris)の亜種です。

IMG_2001

ウツボグサの仲間は英語でself-heal(自己-治癒)とかheal-all(全-治癒)などと呼ばれており、自己治癒力を高めるハーブとして広く利用され来ました(例えば眼精疲労から胃腸薬、強壮剤、外傷薬など)。日本でも生薬として利用されており、「日本薬局方」にも夏枯草(カゴソウ)という名称で記載されています。

煎じてお茶にしたり、若苗を炒めたり揚げたり、花弁をサラダにしたりと、活用方法は様々。けれど匂いや味はあまり強くないのだとか。

 

学界ではその抗菌作用・抗ウイルス作用が注目されています。「ウツボグサの抽出物がHIVウイルスの増殖を抑える」とか「アレルギーを抑える」なんて論文が出るなど、有効成分の活用が期待されているようです。

1) 厚生労働省「日本薬局方ホームページ」 第十六改正日本薬局方(平成23年3月24日厚生労働省告示第65号) p.1466「カゴソウ」

2) Li-mei Lin, Hui-Min Gao, Jing-jing Zhu (2015).”Prunella vulgaris L. 夏枯草 (Xiakucao, Common Selfheal)”. Dietary Chinese Herbs. 3
: 469-475. doi:10.1007/978-3-211-99448-1_53.

3) Collins RA, Ng TB, Fong WP, Wan CC, Yeung HW (1997). “A comparison of human immunodeficiency virus type 1 inhibition by partially purified aqueous extracts of Chinese medicinal herbs”. Life Sci. 60 (23): PL345–51. doi:10.1016/S0024-3205(97)00227-0.PMID 9180371

4) Kageyama S, Kurokawa M, Shiraki K (March 2000). “Extract of Prunella vulgaris spikes inhibits HIV replication at reverse transcription in vitro and can be absorbed from intestine in vivo”. Antivir. Chem. Chemother. 11 (2): 157–64. PMID 10819439

ヘビイチゴ 都井岬の植物


都井岬にお越しになったとき、皆さん目線はどちらを向いていますか?
一直線にウマでしょうか?遠くの海など景観を眺めるかもしれませんね。
お足もとはいかがでしょう?じっくりご覧になったことはありますか?


今日は、最近都井岬の足元で見られる真っ赤なおチビちゃんをご紹介します。
日本全土で見られます。バラ科の草本。ヘビイチゴです。
まずはウマを交えた写真から。どこにあるか、見えますか?

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

足元にぽつぽつ赤い実が見えますね。
少し場所が変わりますが、見下ろすとこんな感じ。イチゴだらけ。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA


アップにしてみてみましょう。
どーん

Photo watermarked with iWatermark for iOS.

あら可愛い


背丈が低く、赤い実をつけていなければほとんど目立たないヘビイチゴ。
まるでキイチゴのようで美味しそうですが、ヘビイチゴは食べられません。
(食べても無毒ですが、ぜんぜん美味しくありません)


食べることはできませんけれど、軽くネットで検索すると、
「焼酎漬けにしたら虫さされに効く」と噂されていますね。
スタッフは試したことがないのでその効果の程はわかりませんが、
都井岬の外で(※)見かけたら試してみようと思います。ご報告はいずれまた。
(※都井岬は文化財保護法および自然公園法によって守られています。そのため岬内では許可なく自然物を採取することができません。)


***********************************************************************
少し脱線しますが、ヘビイチゴの文献を調べていたらこんな情報に行き当たりました。
「ヘビイチゴと万年茸を合わせて処方すると、白血病のHL60細胞のミトコンドリアに
ダメージを与えて細胞死を引き起こす」(注:情報の信頼性は判断できません)—–1

まさかガン研究の文脈中でヘビイチゴが登場するとは。
私たちにとって身近な動植物が、どこでどんな注目を受けているかなんてわからないものですね。
***********************************************************************


2003年には遺伝的に解析され、
キジムシロやミヤマリンバイの仲間と分類されたヘビイチゴ。—–2)
3月には黄色いお花を咲かせていました。

ヘビイチゴ


すきっ歯みたいな花弁がチャームポイント。
ウマノアシガタやカタバミなど都井岬で咲く他の黄色いお花にまぎれて咲いています。


都井岬ではヘビイチゴに少し遅れて野いちごも実をつけています。
そちらについてはまた別にご紹介しますね。


文献
1) Kug Chan Kim,et al. (2007).”Enhanced induction of mitochondrial damage and apoptosis in human leukemia HL-60 cells by the Ganoderma lucidum and Duchesnea chrysantha extracts”.Cancer Letters.246(1-2),210-217.
2) Torsten Eriksson, et al. (2003). “The Phylogeny of Rosoideae (Rosaceae) Based on Sequences of the Internal Transcribed Spacers (ITS) of Nuclear Ribosomal DNA and the trnL/F Region of Chloroplast DNA”. Int. J Plant Sci. 164 (2): 197–211.